遺産分割事件の解決までの流れ

_相続が発生した際、相続人間で遺産の分割方法について意見が分かれることがあります。そのような場合、法的な手続を通じて解決を図ることになります。
 遺産分割事件は、段階的に進行し、交渉から始まり、調停、そして最終的に審判という流れで解決されます。
 どの段階で弁護士に依頼するのが良いかは、個別の事件によって様々です。まずはお気軽に無料相談にお越しください。


第1段階:当事者間の交渉

交渉の特徴
 遺産分割の問題が生じた場合、まずは相続人同士の話し合いによる解決を試みます。この段階では、裁判所は関与せず、当事者間で自由に協議を行います。


交渉のメリット

  • 時間とコストの節約:裁判所の手続きを経ないため、比較的短期間で解決できる可能性があります
  • 柔軟な解決:法定相続分にとらわれず、相続人全員が納得する分割方法を選択できます
  • 関係性の維持:家族間の関係を保ちながら解決を図ることができます


交渉での注意点
 交渉による解決には、相続人全員の合意が必要です。一人でも反対する相続人がいる場合は、次の段階である調停に進むことになります。
 また、感情的な対立が激しい場合や、相続財産の評価に大きな争いがある場合は、専門家のサポートが重要になります。

第2段階:家庭裁判所での調停

調停の仕組み
 当事者間の交渉で合意に至らない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。調停では、裁判官1名と調停委員2名で構成される調停委員会が、中立的な立場から話し合いを仲介します。


調停の進行
 調停は、相続人が交互に調停室に入り、調停委員会と話し合いを行う形で進められます。調停委員会は、各当事者の主張を聞き、法的な観点から助言を行いながら、合意に向けた調整を図ります。


調停のメリット

  • 専門的な助言:法律の専門知識を持つ調停委員からアドバイスを受けられます
  • 冷静な議論:第三者が介入することで、感情的な対立を避けながら議論できます
  • 調停調書の効力:合意に達した場合、調停調書が作成され、これは確定判決と同じ効力を持ちます


調停不成立の場合
 調停でも合意に至らない場合は、調停不成立となり、自動的に審判手続きに移行します。この場合、当事者が新たに申立てを行う必要はありません。

第3段階:家庭裁判所での審判

審判の性質
 調停が不成立に終わった場合、事件は審判手続きに移行します。審判では、家庭裁判所の裁判官が、法律に基づいて遺産分割の方法を決定します。これまでの話し合いとは異なり、裁判官による判断が下されることになります。


審判の手続
 審判では、相続財産の調査、相続人の確定、各相続人の相続分の確定などが行われます。必要に応じて、不動産の鑑定や家庭裁判所調査官による調査も実施されます。相続人は、それぞれの主張を書面で提出し、期日において意見を述べることができます。


審判の効力
 審判書が作成されると、その内容に従って遺産分割が行われます。審判に不服がある場合は、2週間以内に高等裁判所に即時抗告を申し立てることができます。即時抗告がなされなかった場合、または高等裁判所で棄却された場合は、審判が確定します。

解決に向けた実務上のポイント

早期解決の重要性
 遺産分割事件は、長期化するほど相続人間の関係が悪化し、解決が困難になる傾向があります。また、相続税の申告期限(相続開始から10か月)もあるため、早期の解決が重要です。


専門家の活用
 遺産分割には、法律知識だけでなく、税務や不動産登記などの専門知識も必要になります。弁護士のほか、税理士、司法書士などの専門家と連携することで、より適切な解決を図ることができます。
 当事務所では事案に応じ、提携している他士業者の紹介も行っています。


感情面への配慮
 遺産分割は、単なる財産の分配だけでなく、家族の絆や故人への想いも関わる問題です。法的な解決だけでなく、相続人の感情面にも配慮した対応が求められます。


 遺産分割事件でお困りの際は、早めに専門家にご相談いただくことをお勧めします。当事務所では、相続人の皆様が納得できる解決を目指し、きめ細やかなサポートを提供いたします。